外国人材の採用が進むなか、現場でよく聞かれるのが「入社初日に銀行口座がない」という問題です。日本人の採用ではほとんど意識されませんが、外国人の場合は来日直後の口座開設がスムーズにいかないケースが少なくありません。
- 「在留カードがあれば口座を作れると思っていた」
- 「開設を断られてしまった」
- 「給与が支払えず、初月からトラブルになった」
こうした声は決して他人事ではなく、多くの企業が直面している現実です。
本記事では、外国人が銀行口座を作れない背景や、企業が採用時に気をつけるべきポイント、さらにスムーズな口座開設をサポートする具体策について解説します。
💡 この記事でわかること
- 1. 採用後すぐに直面する課題「口座開設」
- 1.1 採用決定直後、人事が確認する「給与振込先」
- 1.2 入社前に間に合わないことも多い
- 1.3 給与の支払いにも影響が出る
- 2. 非居住者の口座開設制限の実情
- 2.1 銀行窓口で「お断りされる」こともある
- 2.2 非居住者とは?銀行側のリスクと視点
- 2.3 地銀・メガバンク・ネット銀行、それぞれの対応
- 3. ゆうちょ銀行のオンライン開設方法とサポートポイント
- 3.1 外国人でも開設しやすい“例外的”存在
- 3.2 オンラインでの開設申し込み手順
- 3.3 企業側が知っておくべき支援のポイント
- 4. 銀行口座開設のハードルを下げる民間サポート
- 4.1 外国人採用支援を一気通貫で行う「Connect Job」
- 4.2 現場との連携で「入社初日から困らない」状態を実現
- 4.3 給与支払いにとどまらない、長期的な定着支援へ
- 参考|無料でシンプルな給与前払いサービス「パルケタイム」
- 5. まとめ
1. 採用後すぐに直面する課題「口座開設」
1.1 採用決定直後、人事が確認する「給与振込先」
企業が外国人を採用した際、多くの場合、入社準備の一環として「給与振込口座の提出」が求められます。人事部門では日本人採用と同じフローで、口座情報を提出してもらい、初月の給与振込に備えるのが一般的です。しかし、外国人採用では、ここで最初の“想定外”が起こりやすいポイントでもあります。口座開設の段階でつまずくケースが少なくありません。
1.2 入社前に間に合わないことも多い
外国人が日本に入国してすぐに口座を開設できるとは限りません。特に技能実習生や特定技能の方々は、ビザを取得してから短期間で来日・入社する流れが多く、居住地の決定や在留カードの取得といった生活インフラの整備が優先されます。 そのため、口座開設が後回しになり、入社初日になっても銀行口座を持っていないという事態が発生することも想定しておかなければなりません。
1.3 給与の支払いにも影響が出る
銀行口座がない状態での入社は、企業の労務処理にも支障をきたします。給与振込ができず、やむを得ず現金手渡しに変更したり、支払いを一時保留したりと、給与支払いの基本フローを外れる対応が求められます。 こうした例外対応は、事務手続きの負担が増えるだけでなく、法的には「支払遅延」扱いとなる可能性もあります。企業にとっても、信頼関係の構築に影響を及ぼす重要な問題だといえるでしょう。
2. 非居住者の口座開設制限の実情
2.1 銀行窓口で「お断りされる」こともある
日本に来たばかりの外国人が、近所の銀行に行って口座開設を申し込んだところ、「在留期間が短いのでできません」「アルバイトの方はご遠慮いただいております」といった理由で断られることがあります。 こうした対応に驚く外国人も少なくありませんが、これは銀行ごとに定められた「非居住者対応ルール」に基づくものです。
2.2 非居住者とは?銀行側のリスクと視点
外国人が来日してから6か月未満の場合、税法上や金融機関のルールでは「非居住者」として扱われることがあります。非居住者はマネーロンダリングや不正送金へのリスクが高いとされ、口座開設には慎重な審査が求められるため、銀行側も積極的には対応できないのが実情です。 また、「収入が安定していない」「就業実態が不明」といった点も、開設を断られる背景にあります。
2.3 地銀・メガバンク・ネット銀行、それぞれの対応
非居住者に対する対応は、金融機関の種類によって異なります。たとえばメガバンク(三菱UFJ、みずほ、三井住友)では、比較的厳しい基準が設けられており、6か月以上の在留実績や在職証明書を求められることもあります。 地方銀行でも同様に、在留カードだけでは不十分で、「居住証明」「公共料金の領収証」「雇用契約書」などを追加で求められるケースが目立ちます。 一方、ネット銀行は原則として口座開設に在留カードの提出が必要ですが、日本語能力やスマホ操作の壁があり、外国人が単独で手続きを進めるのが難しい場合もあります。
3. ゆうちょ銀行のオンライン開設方法とサポートポイント
3.1 外国人でも開設しやすい“例外的”存在
ほとんどの金融機関が非居住者への口座開設に慎重な対応を取る中、比較的スムーズに対応してくれるのがゆうちょ銀行です。 ゆうちょ銀行では、「在留カード」と「パスポート」があれば、本人確認と在留資格の確認ができる仕組みが整っており、外国人の口座開設実績が豊富です。特に技能実習生や留学生を多数受け入れている地方では、窓口担当者が外国人対応に慣れており、言葉の壁も含めて丁寧な対応をしてくれるケースが多く見られます。
3.2 オンラインでの開設申し込み手順
ゆうちょ銀行では、スマートフォンアプリや公式Webサイトを通じて、事前に口座開設の申し込みを行うことができます。基本的な流れは次の通りです。
口座開設手順
- スマホから「ゆうちょダイレクト」アプリまたはWebにアクセス
- 口座開設申込フォームに必要事項を入力
- 在留カードやパスポートの写真をアップロード
- 申請後、郵送でキャッシュカードが届く
この方式であれば、店舗に足を運ぶことなく申請が可能なため、日本語の会話に不安のある方や、近くにゆうちょの窓口がない地域に住んでいる方でも安心して手続きできます。
出典|ゆうちょ銀行
3.3 企業側が知っておくべき支援のポイント
企業がこのプロセスをサポートする際には、次のような配慮が効果的です。
- 外国人従業員に「ゆうちょ銀行での開設が可能である」ことを事前に案内する
- スマホを活用した申請手順を、母国語またはやさしい日本語で説明する
- 開設完了までに1週間〜10日ほどかかる可能性があるため、入社1〜2週間前には案内を開始する
また、入社後のトラブルを避けるためにも、早めに口座開設が完了するよう、入社案内資料に「口座開設の手順書」を含めるなどの工夫が有効です。
4. 銀行口座開設のハードルを下げる民間サポート
4.1 外国人採用支援を一気通貫で行う「Connect Job」
外国人材の採用から入社・定着までのプロセスを支援する企業として、フォースバレー・コンシェルジュ株式会社(Force Valley Concierge)が運営するConnect Jobが注目を集めています。同社は、特定技能や技人国などで来日する外国人が直面しがちな課題に対して、ワンストップ型の生活支援・定着支援サービスを提供しています。
Connect Jobでは「銀行口座の開設サポート」もおこなっており、来日後すぐの段階で、在留カードや雇用契約書、住民票など必要書類の取得を支援し、地方のゆうちょ銀行や金融機関と連携して開設手続きをサポートしています。
4.2 現場との連携で「入社初日から困らない」状態を実現
Connect Jobでは、企業ごとの受け入れスケジュールに応じて、事前に生活インフラ準備の計画を立て、来日前後のタイミングで本人と企業の両方に必要な情報を提供します。 特に銀行口座については、以下のような実務支援をおこなっています。
- 「開設できる銀行」「必要書類」などを母国語で事前案内
- ゆうちょ銀行など実績のある金融機関の紹介
- 企業側へも「想定されるトラブル」「開設までの所要日数」などを共有
- 必要に応じて通訳スタッフが手続きに同行・立ち会い
このようなサポートがあることで、企業は給与振込の準備をスムーズにおこなえるようになり、外国人材本人も「安心して働き始められる」と高く評価されています。
4.3 給与支払いにとどまらない、長期的な定着支援へ
さらに、単なる生活立ち上げ支援にとどまりません。銀行口座開設や住居契約、役所での各種登録など、入国初期に必要な手続きの多くを代行・伴走し、企業の人事担当者の負担を大きく軽減します。 また、外国人材が働きながら定着していけるよう、日本語学習や生活相談、在留資格の更新管理といった中長期支援まで一貫して対応。こうした体制により、「働きやすさ」だけでなく「辞めにくさ」も高まっており、実際に多くの企業で定着率向上の成果が報告されています。
参考|Connect Job_導入事例
参考|無料でシンプルな給与前払いサービス「パルケタイム」
パルケタイムは給与前払いの福利厚生サービスです。
- 働いた分の給与を好きなタイミングで受け取ることができます
- 企業負担ゼロで最短即日導入できます
- 「日払い」「前払い」をキーワードに訴求し採用力が向上します
5. まとめ
外国人雇用において「銀行口座がない」という状況は、本人だけの問題ではなく、企業側の受け入れ体制そのものが問われる実務課題です。特に入社初日に給与振込口座が用意できていないと、給与支払いがスムーズに行えず、現場の混乱や法的なトラブルにもつながりかねません。
ゆうちょ銀行のように非居住者にも比較的対応しやすい金融機関を紹介することや、入社前から情報提供を始めておくことは、比較的すぐに取り組める対応です。さらに、民間サービスを活用することで、企業の負担を減らしながら外国人材が安心して働き始められる環境づくりが可能になります。銀行口座の開設に限らず、住居・通信・行政手続きまでトータルに支援する体制が整えば、企業にとっても“定着しやすい人材確保”が実現しやすくなるでしょう。
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